家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令案への意見について

2020年06月10日

日本産肉研究会では以下のように会長名で農林水産省にパブリックコメントを提出しました。


                                  令和2年6月10日

家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令案についての意見について

                                   日本産肉研究会

                                     会長 松﨑正敏

 日本産肉研究会は2007年の発足以来、わが国の将来の食肉事情を見据え、研究者、生産者、流通・加工業者、消費者の連携のもとに、家畜の放牧と地域飼料資源の利用を基本に置いた食肉の持続的な生産基盤を構築し、動物福祉の向上と再生産可能な経営の確立により安全で健康的な食肉の消費者への提供と食肉自給率の向上を目指して、活動してまいりました。開催が予定されている東京オリンピック・パラリンピックの「持続可能性に配慮した調達コードについて」(大会組織委員会2017年4月24日)の「畜産物」において、「要件を満たした上で推奨される事項」として「放牧畜産実践農場で生産された畜産物」とあり、農林水産省も「農畜産物の調達基準にかかわるGAP認証等の拡大に向けた推進状況について」(平成30年8月)の中でも、上記の推奨事項が明記されています。また、令和2年3月16日に生産局畜産部畜産振興課長が地方農政局等に出した「アニマルウェルフェアに配慮した家畜管理の基本的な考え方について」の中で、「2. 5つの自由の確保として(5)通常の行動様式を発現する自由」が記されています。以上のように、オリ・パラでの食材調達コードは日本国政府が世界に約束した事項であり、またアニマルウェルフェア配慮は、農水省の最近の指針であることから、これらを順守する上で不可欠な放牧飼養を制限するようなことがあってはならないと考えます。そこで、今回の家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令案について、下記の通り意見を提出させていただきます。

今回示された飼養衛生管理基準(牛、水牛、鹿、めん羊、山羊)(案)は、さきに公布された豚及びいのししに係る飼養衛生管理基準の文言をそのまま書き写したかのような部分が少なくなく、防疫の対象とする伝染病や畜種に対応した具体的な基準となるよう精査・修正いただきたいと考えます。

  • Ⅰ-7家畜伝染病の発生リスクの高まりに対する準備ついて

大臣指定地域において講じられる追加措置ついて、その取組内容を習熟しておくこととしていますが、指定にあたっての判断基準が明確に示されていません。過剰な指定による制限とその継続は、個々の畜産経営に甚大な損害を及ぼすことが危惧されます。こうした事から、大臣指定地域の指定とその解除にあたっての判断基準は科学的根拠のある明確なものとして、お示し頂く必要があると考えます。

  • Ⅰ-9放牧制限の準備について

放牧を基本とした家畜飼養を実践する農場においては十分な畜舎を保有していない例も少なくなく、経費負担の少なくない畜舎の確保等を農場に義務づけるような記載を改め、行政側の支援策もご検討いただいた上で対処可能な準備措置の記載となるよう改めていただきたい。

  • Ⅱ-21安全な資材の利用について

Ⅰ-7およびⅡ-14などでも記されている大臣指定地域について、その指定の根拠となる伝染病を明記された上での記載となるよう改めていただきたい。反芻家畜を対象とした飼養衛生管理基準にあっては、口蹄疫の発生に限定されるような表現を検討いただきたい。

  • Ⅲ-26畜舎外での病原体による汚染防止について

上記2でも要望したように、防疫の対象となる伝染病を明記することなく、大臣指定地域における舎外飼養の中止を規定した記載は誤解と混乱を招きかねず、アニマルウェルフェアへの配慮の観点からも看過できない表現となっています。病原体の汚染防止の趣旨が明確となるような具体的な記載となるよう検討いただきたい。

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